旧谷山家住宅 (国指定重要文化財)(昭和44年3月指定)

旧所在地 和歌山県海南市下津町塩津

主屋  土蔵造   桁行9.5m 梁間8.9m 一部二階
    南面突出部 桁行3.0m 梁間5.0m 切妻造 東面及び北面庇付 本瓦葺
倉   土蔵造   桁行4.8m 梁間4.0m 切妻造 本瓦葺 東面主屋に接続


 旧谷山家住宅は、もと和歌浦湾に面した海南市下津町塩津の浜に面して建てられていた漁家建築です。
 塩津浦は、江戸時代の紀州における海運業の要地であり、またイワシ網やイナ網など瀬戸内や関東へも出漁した紀州網漁の基地としても栄え、谷山家は代々海運と網漁を中心に営んできました。


    


 この建物は、寛廷2年(1749)に上棟されたことが、残されていた棟礼の銘文によって明らかになっています。主屋と倉が直角に接続していますが、倉の材料は主屋よりもやや古いと見られるので、寛廷2年には主屋だけが建て替えられ、それまであった倉に接続されたと考えられます。
 主屋は漁師町の建て込んだ敷地にあわせて縦に長い台形の平面をしており、全体に居室部分が小さく、ほとんどが吹き抜けの土間になっているのが特色です。
 また、外壁に漆喰を多く用い、玄関を通りに面した正面に設けず、二階の窓に三重の戸が用いるなど、海からの強風に耐えるための配慮が随所に見られます。

 この建物は、建築年代が明らかなうえ漁家建築として古いものに属する、全国的にも数少ない貴重な民家です。
 和歌山県では、この家を所有者より譲り受け、昭和44年度に柳川家住宅と同じくこの地に移築し、復元修理を行ないました。



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